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【 大阪都構想 】~新しい大都市の成長発展モデル~

かつて右肩上がりの高度経済成長期には、大阪府と大阪市の「二重行政」もさして気になりませんでした。共に先進自治体としての自負があり、互いにライバルとなり相乗効果も発揮され、結果として住民利益に還元されました。  

しかし、近年、少子高齢化、低成長時代を迎え、府市ともに深刻な財政難からか、多くの政策課題で互いに責任転嫁しあい、果ては暗黙の内にともに手を付けない政策領域が広がっているのではないかと危惧をします。  

特に、大阪の場合、単に二重行政の非効率性という以上に、大阪再生に向けた長期的なグランドデザインやインパクトのある世界戦略を描き切れないところに最大の問題があります。  

平成27年の国勢調査によると、大阪市の昼間人口3,543,449人、夜間人口2,691,185人、昼夜間人口比率131.7となります。政令市最大の人口を有する横浜市は夜間人口の方が多く、昼夜間人口比率91.7です。関東一円から通勤者の集中する東京都区部でも昼夜間人口比率129.8であり、大阪市は、全国の政令指定都市、県庁所在市の中で、昼夜間比率が最も高いことになります。  

このことから大阪市では、昼間は市域外の人が多く流入し、経済発展を支えている比率が極めて高い現実を考えると、果たして大阪市が自らの税収を大阪市域内だけで使い切っていいのか。逆に、昼間人口を支えなければならない市域内のインフラ整備を大阪市だけに押し付けていいのか。つまり費用負担を求める区域と公共サービスを受ける地域が一致しない問題がクローズアップされます。  

広域自治体の視点は、鳥の目であり、俯瞰の目です。これに対し、基礎自治体の視点は、虫の目であり、地上からの目となります。大阪府域の面積は全国47都道府県の内、46番目、香川県に次ぐ狭さです。大阪の平野部は全て市街地化されており、その中心部で今の大阪市域に限り自己完結型の広域行政を展開すれば、必然的に二重行政の軋轢が生じます。  

大阪都構想の協定書では、広域行政一本化のため、大阪市が担ってきた広域行政の費用2,000億円は大阪府に引き継がれます。移行当初は、全額大阪市域に限った広域行政予算とするため、特別会計に計上されます。  

しかし、都構想に反対される皆さんは、所詮この論議は、府市間の勢力争いであり、縄張り争いとしか考えない方々が多いため、大阪都に移行すれば、協定書の約束事も結局理不尽に反故にされるのは目に見えており、召上げた2,000億円が、大阪市民のために使われる保証は何もないと主張されています。  

果たして本当にそうでしょうか。現行の自治体としての大阪市の機能がなくなっても、広域行政は大阪府に一本化され、即断即決の「司令塔」が誕生します。住民に身近な基礎行政は4特別区に引き継がれます。いわゆる大阪都が誕生しても大阪府の中心核は4特別区であることに変わりありません。コロナ禍を克服し、インバウンド復活、万博開催となれば、今の大阪市が担う広域行政以上に効果的でダイナミックな集中投資が4特別区に必要となり、巡り巡って今の大阪市民に最大の恩恵が還元されることになることはまちがいありません。  

全国の政令指定都市のなかで、大阪市が先行して特別区体制に移行することは、次の新しい大都市の成長発展モデルが陽の目を見ることとなり、その歴史的意味は極めて大きいと確信します。

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