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【都構想と維新】朝日社説への反論

 去る4月5日の朝日社説には全く驚いた。今回、大阪府議会と大阪市会において賛成多数で採決、成立した、いわゆる「一元化条例」は、昨年の住民投票で示された「民意」と全くかけ離れた維新と公明の党利党略の産物と言い張るのである。これには黙っている訳にはいかない。

 最初に、社説では『いまの行政の枠組を変えることは、基本的に認められない。それが、都構想を2度にわたって否決した大阪市民の明確な意思だった。』としているが、これは朝日側の独自の身勝手な解釈である。2度にわたって否決したのは、政令指定都市としての大阪市を廃止してまで都構想に踏み込む必要はないということである。

 すなわち、都構想に反対票を投じた市民は、今の市政の現状維持と固定化を望み、指一本触るなという意思表示までした訳ではない。むしろその逆であり、都構想のような後戻りできないドラスチックな手法は望まないが、それ以外の積極果敢な改革は、むしろ断行すべしというのが、私が普段接している市民の大多数の声である。

 また『国から地方へ、都道府県から市区町村へと、権限を移してきた地方分権の流れに逆行する内容だ』と言い切っているが、なぜ広域行政の権限を有しない市区町村と同列視し、批判するのか。住民投票の時の議論を意図的に無視しているとしか言いようがない。もともと政令指定都市の権限と地位は、道府県と同格とされているのである。今回、公明党から提案し、わざわざ条例に書き込んだとおり、両者は対等であり、その権限の移動は、水平移動に他ならない。共に、広域行政を担う相互の関係、役割分担を見直した訳であり、なぜ、それが地方分権の流れに逆行しているというのか、全く理解に苦しむ。

 今回、全国で初めて政令市と道府県が話し合う場を制度的に担保する条例が制定された。必要に応じて広域行政の権限を政令市から府に移管するシステムができたことは画期的であり、住民投票で示された民意を反映できたともいえる

 平成27年の国勢調査によると、大阪市は、全国の政令指定都市、県庁所在市の中で、人口の昼夜間比率が最も高い。このことから大阪市では、昼間は市域外の住民が多く流入し、経済発展を支えている比率が最も高いことがわかる。そう考えると、果たして大阪市が自らの税収を大阪市域内だけで使い切っていいのか。逆に、昼間人口を支えなければならない市域内の公共インフラ整備を大阪市だけに押し付けていいのか。つまり費用負担を求める地域と公共サービスを受ける地域が一致しない問題がクローズアップされるのである。

 一方、大阪府域の面積は全国47都道府県の内、46番目、香川県に次ぐ狭さである。大阪の平野部は全て市街地化されており、その中心部で大阪市域に限り大阪府と何の連絡調整もなしに自己完結型の広域行政を行えば、必然的にかつての二重行政の確執と軋轢が生じる

 今後、条例制定により大阪市内で国の補助金を投入するような大規模な都市計画事業やプロジェクトを計画する時には、大阪府も関与することが、ルール化された。そして、大阪府が一定の費用負担を求められることになるのは当然であり、その歴史的意味は極めて大きい。

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